一般社団法人ラテンアメリカ協会創立60周年記念シンポジウム <長年のパートナーとしての中南米> ―現在・過去・未来を語る―各社の経験から | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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一般社団法人ラテンアメリカ協会創立60周年記念シンポジウム <長年のパートナーとしての中南米> ―現在・過去・未来を語る―各社の経験から

当協会では、2019年3月6日(水)にセルバンテス文化センターにおいて、セルバンテス文化センターとの共催で当協会創立60周年記念シンポジウムを開催しました。

 今回のシンポジウムでは、ラテンアメリカ諸国で長くビジネスを展開している資源・食品・耐久消費財・商業分野の代表的な日本企業4社からスピーカーをお招きし各社の活動の足跡と今後取り組むべきチャレンジについてお話しいただきました。各社とも、進出以降、現地の法制度、商習慣、市場特性など様々に変化するビジネス環境に果敢に対応することで、ラテンアメリカでの活動基盤を築いてきました。このシンポジウムを通して、各社の経験と知恵の一端を学び、改めてラテンアメリカ地域の重要性を考える貴重な機会となりました。ご登壇いただいた4社のご協力に深く感謝申しあげます。

シンポジウムの後、簡単なレセプションにて懇談の機会を設けました。
シンポジウムの概要は以下の通りです。

【パネリスト】
 味の素株式会社 尾崎 弘一 食品事業本部 海外食品部 海外冷凍食品グループ長
 JX金属探開株式会社 村上 健一 社長(元JX金属株式会社常務)
 トヨタ自動車株式会社 茶谷 進 中南米部第2営業室 需給・総括グループ長
 三菱商事株式会社 松永 愛一郎 常務執行役員(4月1日就任)
【モデレーター】堀坂 浩太郎 上智大学名誉教授(ラテンアメリカ・カリブ研究所長)

 シンポジウムの冒頭、モデレーターの堀坂教授がラテンアメリカの社会・政治の変遷を振り返り、3つの”JUNTOS”および”連結性強化“が謳われる新たなステージを迎えている日本・ラテンアメリカ関係に、進出企業が果たせる貢献をこのシンポジウムを通して共に学んでいきたいとコメントされた。次いで、各パネリストから自社のラテンアメリカでの取り組みが紹介された。

味の素株式会社 尾崎 弘一氏:
 中南米事業はブラジルとペルーを拠点にして各国に支店および子会社を設けている。AJINOMOTO do Brasil は1956年に創業、現在の従業員数は約3千人にのぼる。B to C事業が中心でブラジル国内では食品販売が事業の半分を占める。風味調味料「TEMPERO SAZON」は国内市場のブランド認知率96%のトップブランドで、1994年に「愛の調味料」をキーワードにしたCMがヒットしたことで需要が大きく伸長した。店頭取扱率は98%でクラスCと言われる中所得者層が購買者の中心。85社のディストリビューターを束ねる現地スタッフのマネージメントのポイントは(1)徹底したコミュニケーション、(2)自主性の尊重、(3)やる気を損なわない形での軌道修正、(4)(転職回避のため)優秀なスタッフの露骨な贔屓などと説明し、距離の近さを大事にしつつ軽くみられないことが重要と強調した。今後のチャレンジは、ブラジル、ペルーに継ぐ拠点を構築し、持続的成長の実現と語った。

JX金属探開株式会社 村上 健一氏:
 JX金属では1955年にアンデスの非鉄金属探査を開始し、翌年にはチリに駐在員が常駐した歴史がある。現在もチリ、ペルーに探鉱事務所を設置している。2000年代の資源ブーム期に、会社の目標が金属資源の安定確保から鉱山経営にシフトし、鉱物資源の自主開発を始めている。2010年にチリのカセロネス鉱山の建設が始まり、2014年には銅精鉱生産を開始した。2040年代まで生産を続ける予定。日立鉱山をルーツにもつ同社は地域との共存共栄をモットーにCSR(企業の社会的責任)活動に力を入れている。カセロネス鉱山では動植物保護(大島桜の植樹など)や先住民のための行政サービス支援、災害被災者支援等も行っている。「信頼は逃げない」を基本姿勢として、現地政府や地元住民との信頼関係の維持に最大限注力している。

トヨタ自動車株式会社 茶谷 進氏:
トヨタとラテンアメリカの関係は、1950年のコスタリカへの輸出に始まり、エルサルバドルで代理店契約を開始、58年にはブラジルに海外初の生産工場を建設した。現在は中南米の40カ国・地域で事業展開している。生産工場はブラジル、アルゼンチン、ベネズエラの3カ国に集約し、コスト削減と各種パーツの現地調達量の増大に成功した。中南米の自動車総市場は2018年実績で480万台。世界市場の約5%の規模になる。トヨタは30年以上トップシェアを維持している国がある一方、ブラジル、アルゼンチン、チリでは第2~第3グループのポジションに留まっている。90年代までは完成車の輸入が中心だったが、徐々に地産地消にシフトしている。現在は8割弱が現地生産で、シェア拡大に向け小型車戦略を推進している。トヨタの販売フィロソフィーの根幹は「街いちばんの店」(Best in Town)で、ラテンアメリカでもこの精神の徹底を目標にしている。

三菱商事株式会社 松永 愛一郎氏:
 ブラジルの政治経済は国内の汚職問題や資源価格の低迷が影響し、経済成長率は2015-16年にマイナス成長に陥ったが、2017年に底を打ち、回復の兆しが見えてきた。現政権は民営化推進等にも積極的なため経済面での成長が見込まれる。三菱商事ではノルウェーのセルマックを子会社化し、チリでのサーモン養殖バリューチェーンを展開している。ブラジル三菱とすき家ブラジルが共同でサーモン定食を商品開発し好評を得た。メキシコでは国家戦略の流れに沿って電力事業を展開。パナマではメトロ3号線プロジェクトを日立、イタリアのアンサルドと共同で手掛けている。中南米では潮目の変わり目が来ていると感じている。日本とメルコスール(南米南部共同市場)のEPA(経済連携協定)も締結に向け動き出した。今後、このテーマはオールジャパンの精神で取り組んでいきたい。

登壇中のモデレータおよびパネリスト各位

会場の様子

講演会資料

会員様限定ですが、下記のリンクよりダウンロードして頂けます。

一般社団法人ラテンアメリカ協会創立60周年記念シンポジウム <長年のパートナーとしての中南米> JX金属探開株式会社

一般社団法人ラテンアメリカ協会創立60周年記念シンポジウム <長年のパートナーとしての中南米> 三菱商事株式会社